なぜ空手は今までオリンピック種目に採用されなかったのでしょうか?

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2020東京オリンピックでようやく空手が正式種目として採用されましたね!

とはいえ、東京での追加種目なので、今後はまた採用されない可能性が高いです。

歴史、競技人口、競技国数いずれも他のオリンピック種目に引けを取らないというか、むしろ上位である空手がなぜ今までオリンピック種目に選ばれなかったのでしょうか?

この記事では空手がオリンピック種目になれなかった理由について考察します。

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オリンピック種目の競技国数比較

空手は沖縄で生まれ、世界中に広まりました。

現在では日本よりもフランス、アメリカの方が空手の競技人口は多いと言われているくらいです。

ところで、空手は世界のどれくらいの国で競技されているかご存知ですか?

詳しくはこちらの記事にまとめています。

【関連】空手の競技人口(日本・世界)を調べてみると驚くべき数字になりました

世界空手連盟に所属する国の数は現在193ヵ国です。

この数字がどの程度すごいのか、他のオリンピック競技と比較してみましょう。

各競技の国際連盟への加盟国数を一覧にしてみると下記の通りです。

バレーボール 222
卓球 220
バスケットボール 214
陸上 212
サッカー 211
水泳 208
柔道 204
ハンドボール 204
テニス 203
ボクシング 196
空手 193
ウェイトリフティング 187
バドミントン 182
自転車 174
レスリング 174
カヌー 164
アーチェリー 156
射撃 154
体操 141
ゴルフ 141
フェンシング 135
馬術 133
ホッケー 128
ソフトボール 127
野球 124
セーリング 120
ボート 118
ラグビー 115
サーフィン 104
テコンドー 93
スポーツクライミング 64

見ていただいたらわかる通り、空手の競技国数は上位です。

それにも関わらず、これまで空手はオリンピック種目に採用されませんでした。

なぜなのでしょうか?

私はその理由は2つあると思っています。

空手がオリンピック種目になれなかった2つの理由

空手がこれまでオリンピック種目に採用されなかった理由は2つあると思います。

それは

  1. 流派がたくさんありすぎてルールが統一されていない
  2. 勝敗の判定が難しい

この2つだと思っています。

1.流派がたくさんありすぎてルールが統一されていない

ひと口に空手といっても、さまざまな流派があり、それぞれ競技ルールが違います。

【関連】空手の流派について、種類・特徴・違いを一覧!最強流派についての考察

上記の記事で説明していますが、空手の流派は大きく分けて2つ。

  • 伝統派空手
  • フルコンタクト空手

に分かれます。

伝統派空手は攻撃を相手に当てない(寸止めルール)ことが基本です。(実際には当たっていますが)

伝統派空手は「伝統」という言葉がつくように、沖縄で発展した空手が日本全国に広まる過程で生まれた流派です。

4大流派といって、松濤館流、剛柔流、糸東流、和道流があります。

これに対して、フルコンタクト空手は直接打撃OKの空手です。

伝統派空手とフルコンタクト空手では同じ空手といっても、組手試合のルールが大きく異なります。

伝統派空手は多くがポイント制、フルコンタクト空手は一本制(ノックダウン制)です。

これだけでも同じ土俵で勝負ができないわけですが、さらに伝統派空手では腰から上を支点とした投げが禁止されているのに対し、フルコンタクト空手では投げ技、掴み技OK、なかには寝技まで認めている会派もあります。

伝統派空手でも流派によってルールが異なります。

これではひとつの競技として成立しません。

それを世界的に統一されたルールで運用していこうという流れで発足したのが世界空手連盟(WKF)です。

世界空手連盟の前身団体である世界空手連合が誕生したのが1961年のことです。

しかし、連盟が誕生したからといって、すぐに世界的に空手のルールが統一できるはずはありません。

徐々に加盟国数を増やしていって、現在は世界193ヵ国が世界空手連盟に加盟しています。

ただ、世界空手連盟は伝統派空手競技の国際競技団体であり、フルコンタクト空手の団体は加盟できません。

つまり世界空手連盟の誕生によっても、空手のルールは完全に統一されてはいないのです。

これはオリンピックに採用されている種目では考えられないことです。

柔道、ボクシング、テコンドー、レスリングなど格闘系の種目でもルールは統一されています。

バレーボールや卓球、サッカーなどの球技でもルールが統一されているなど当たり前のことです。

同じ空手とうたいながら、ルールが様々であるという点がオリンピック種目として採用されなかった理由のひとつではないでしょうか。

2.勝敗の判定が難しい

理由の2つ目が勝敗の判定が難しいということです。

柔道の試合は主審1名、副審2名の3名で勝敗の判定を行ってきました。

しかしそれでも誤審があることから、ジュリー(審判を監督する審判委員)制度を設けました。

さらにビデオ判定も導入しています。

さて、柔道と空手ではどちらが勝敗の判定が難しいと思いますか?

突き、蹴りがあり、攻撃のスピードが圧倒的に早い空手のほうが判定するのは難しいと思いませんか?

空手の組手の試合では主審1名、副審4名の5名で判定します。

柔道は3名でジャッジしていたのに対し、空手は5名です。

それだけジャッジが難しいということでしょう。

空手は世界中で「最も速い格闘技」といわれています。

そしてポイントを取るには、相手に攻撃を当てただけでは不十分でスピード、強さ、姿勢がそろってはじめてポイントになります。

審判に大変高度なスキルが求められるわけです。

しかも、攻撃が当たったかどうかは客観的にジャッジできますが、強さ、姿勢など審判の主観も大きく入ってくるはずです。

このように、判定がとても難しいということもオリンピック種目として採用されにくい理由なのではないかと思っています。

同じようにジャッジが難しい競技にフェンシングがあります。

しかし、フェンシングの場合はセンサーによる機械判定の導入など、正確な判定ができるような取り組みがなされています。

空手の組手競技でも柔道のようにビデオ判定を導入すればいいのではないかという声もあるようですが、攻撃が有効だったかどうかをいちいちビデオで確認していたら、いちいち試合が中断されて、空手の魅力であるスピード感がまったくなくなってしまいます。

将来的にAIがもっと発達して、人工知能の目で判定ができるようになれば、判定基準の問題はクリアできるかもしれませんね。

2020東京オリンピックでは空手道発祥の国としてのメリットもあり空手が追加種目として採用されましたが、今後も継続してオリンピック種目として採用されるには、この2つの課題を解決することが必要なのではないでしょうか。

ジャッジの問題は科学技術の発展でクリアできるとしても、ルールの完全統一はまず不可能でしょうね・・・

なぜなら、どの流派も「自分のところが一番!」と思っているので、他の流派のルールでやるということは、他の流派に屈服したことを意味しますから。

人間の感情が絡むことなので、空手界が統一されることはないでしょう。

 

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