キアヌ・リーヴスの人気作となったジョンウィックの第3作「ジョンウィック3 パラベラム」の感想とジョン・ウィックシリーズの魅力について解説します。

ちなみに、「パラベラム=戦いに備えよ」 ということらしいです。

そしてこのシリーズはバイオハザード的な興行展開をすることにしたみたいです。

今回でシリーズ完結かと思っていたら、まさかの「続く」的な終わり方。

「主席」を倒すまであと3~4作続くんじゃないですかね。

※シリーズ第4作は2021年5月21日に全米公開予定(コロナの影響で多分延期かな・・・)

この第3作ではガン・フーをどう超えるか!?

これがチャド・スタエルスキ監督のテーマのひとつであったようです。

いや~、ガン・フーを十分超えてましたよね?

  • ドッグ・フー
  • ホース・フー
  • 刀・フー
  • ナイ・フー
  • ブック・フー

ノワールの中にクスっと笑える要素を織り込む演出は、初期ジャッキー・チェンの映画を思い起こさせます。いや、ジャッキー映画よりノワール感が強い分、緊張と弛緩のコントラストが際立ちます。

ジョン・ウィックシリーズは何も考えず、頭を使わず見ても楽しい!頭を使って見るともっと楽しい!

僕はこの映画見て、「正義とは何か?」について考えてしまいましたよ。

「ひたすら殺しまくる映画で正義について考えるとかアホなの?」と思ったかもしれませんが、勝手に深読みして、勝手に意味を見出すのが映画を見る楽しみでもあるのです!

まずは感想をつらつら書いてみます

●ジョン・ウィックの凄さは無尽蔵のスタミナと不死身性だね(コンチネンタルホテルの屋上から落下しても死なないし)

●さすがハル·ベリー!動けるね~!

●自分の犬を殺されキレて撃ちまくるソフィア(ハル・ベリー)。ジョン・ウィックと同類w

●ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアのアクションすごいな!エグいっす。股間、痛そ~。

●痛みが伝わるアクション映画って少ないけど、これは思わず体を固くしてしまうほど伝わってくる。

●ちょっと尺が長いかな。90分程度にしたほうが魅力が凝縮される気がする

●にんじゃりばんばん出たw 外国人が抱くあるあるな日本観w

●アクションシーンはやっぱり長回し!下手くそなFast cutsとかいらんよね。

●ヘッドショットにジョン・ウィックの殺しの美学を感じる

●内面に葛藤を抱える暗殺者役はキアヌ・リーヴスが随一

●最後のウインストンの演技は上手い!見事!

●パラベラム=「戦いに備えよ」って次回作の戦いに備えよって意味でもあるのか!次回作はマトリックスコンビ(キアヌ・リーヴスとローレンス・フィッシュバーン)&ウインストンで主席連合に逆襲w

●頭を使わなくても楽しめるけど、頭を使って見るともっと面白い!

ジョンウィック3 パラベラム作品情報&興行成績

監督:チャド·スタエルスキ。

キャスト:
ジョン·ウィック / キアヌ·リーブス
ソフィア / ハル·ベリー
ウィンストン / イアン·マクシェーン
バワリー·キング / ローレンス·フィッシkュバーン
ゼロ / マーク·ダカスコス
シャロン / ランス·レディック
裁定人 / エイジア·ケイト·ディロン

日本では公開3日間で興行収入約1億8,107万円・観客動員12.3万人。前作の公開3日間興収(約1億414万円、観客動員7.6万人)を大きく上回ったようです。

世界興収は3億2670万ドル。

制作費7500万ドルに対して興収3億2670万ドル(利益8900万ドル)と大成功。

当然続編が制作されることとなります。

1作目&2作目のあらすじを簡単に復習

ジョンウィック チャプター1

5年前に引退した伝説の殺し屋ジョン·ウィックは、最愛の妻を亡くした数日後、妻から贈られた子犬を殺され、愛車を盗まれる。

犯人はニューヨークで一大勢力を誇るロシアンマフィアのボス、ヴィゴ·タラソフの息子ヨセフ。

復讐のために一時的に裏社会に戻ったジョンは、ヨセフを殺し、ヴィゴ·タラソフの組織もたった1人で壊滅させる。

ジョンウィック チャプター2

誓印のルールによってサンティーノ·ダントニオから依頼され、やむなく犯罪組織カモッラの主席でサンテイーノの姉ジアナを殺害する。

しかしサンティーノの卑劣な策略でニューヨーク中の殺し屋から狙われるはめに。

妻との思い出の家を焼いたサンティーノへの復讐を決意したジョンは、殺しの治外法権であるコンチネンタル·ホテルに逃げ込んだサンティーノを殺害。

ルールを破ったジョンに追放令が出る。

ジョン・ウィック チャプター3 パラベラムのあらすじ

裏社会の聖域・コンチネンタルホテルで、ジョン・ウィックはルールを破りサンティーノを殺害したことで賞金首となり、世界中の殺し屋から命を狙われる。

ウインストンという後ろ盾を失なったジョンはかつて育てられて組織に助けを求め、カサブランカへ旅立つ。

かつて“血の契約”を交わした女、ソフィアに協力を求めるために。

一方、コンチネンタルホテルの支配人ウインストンもジョンの追放まで1時間の猶予を与えたことで、ジョンに協力したと見なされ、組織から退任を要求される。

ソフィアの手助けもあり”主席連合”に影響力を持つエルダーに許しを乞うジョンだが、その見返りにウインストンを殺すように命じられる。

コンチネンタルホテルに舞い戻ったジョンは、ウインストンを殺すのか?

それでは、ジョン・ウィックの魅力を解説していきましょう!

ジョン・ウィックの魅力1 ナメてた相手が実は殺人マシンでした設定

ジョン・ウィックは、古くは必殺仕事人の中村主水のように、頼りなさげな人物が実は凄腕の暗殺者でしたという設定です。

チャプター1の導入は最高でしたね。

ガソリンスタンドでマフィアのせがれ(ヨセフ)に絡まれ、なすがままでチンピラたちに舐められる。

挙句の果てに彼らはジョンの自宅に押し入り、犬を殺して、車を奪います。

それを知ったヨセフの親父、ヴィゴ・タラソフが青ざめます。

ヴィゴ:お前が手を出したのは、ジョン・ウィックだ。奴は一時期、我々と行動を共にしていたのだ。我々は彼を「ババ・ヤガ」と呼んでいた。
ヨセフ:ブギーマンってか?
ヴィゴ:正確に言うと、そのブギーマンを殺すために雇われたブギーマンが奴なのだよ。…奴が鉛筆一本で人を3人殺すのを、私は見たことがある。たった一本の鉛筆でな。…奴がこの世界から足を洗いたいというから、最後に不可能な仕事を任せたのだ。その仕事で彼が築いた死体の山が、今日の我々の礎になったのだ。

普段は平凡そうに見える人間が実は超人的な戦闘力を持っていた。ある事件をキッカケにその力を解放するというパターンは他の映画にも見られ、人気作が多いです。

例えば

●ランボー
●96時間
●イコライザー

このあたりがパッと思い浮かびますね。

●ランボー(1982)
シルベスター・スタローン演じるジョン・ランボーはベトナム戦争帰還兵。かつての戦友のいる山岳地帯のふもとの小さな町を訪れる。しかし、戦友はすでに死去していた。失意の中、食事をしようとしたランボーは、よそ者嫌いの町の保安官ティーズルに言いがかりをつけられ逮捕される。ランボーは怒って脱走し、山中に立てこもる。ランボーは追ってをゲリラ戦で倒していく。

●96時間(2008)
リーアム・ニーソン演じるブライアンは元CIA工作員。娘のキムが、友人のアマンダと一緒に2人でパリ旅行に行ったときに人身売買組織に拉致される。娘を救うためCIA工作員時代のスキルを活かしブライアンは、1人で犯人グループに立ち向かっていく。

●イコライザー(2014)
デンゼル・ワシントン演じるロバート・マッコールは、元CIAの凄腕諜報員であったが、今は生真面目にホームセンターで働いている。行きつけのカフェで娼婦の少女テリー(クロエ・グレース・モレッツ)と出会う。テリーがロシアンマフィアから激しい暴力を受けたことをキッカケに正義感に目覚め、警察が介入できないような不正やトラブルを19秒で完全抹消する“イコライザー”として悪を成敗していく。

ジョン・ウィックはこのジャンルにおける近年の名作です。

ナメてた相手が実は殺人マシンでした設定の映画の魅力は、

①平凡な自分を主人公と重ね合わせて感情移入できること

②圧倒的な力で敵を粉砕する爽快感

③日頃の鬱憤を晴らして、カタルシスを得られる

こんなところでしょうか。

ジョン・ウィックの魅力2 キアヌ・リーヴスの醸し出す葛藤は本物

ジョン・ウィック チャプタ―2公開のときにチャド・スタエルスキ監督がインタビューに答えてこんなことを言っています。

そしてもっと大きく言えば、ギリシャ神話がベースです。ギリシャ神話は、運命と向き合い、内なる葛藤と外での戦いを強いられているものが多い。ジョン・ウィックのストーリーラインも同じで、シンプルに運命や復讐を描いています。
ジョンが悪人を殺すことは二の次であり、内なる葛藤をメインに描いているのです。ジョンは運命に耐え抜けるのかどうか、という部分に惹かれるのだと思います。また、多くを語らないサイレントヒーローであり、侍的に描くことを意識して作っているところも日本やアジアで受けている理由の1つだと思います。

内なる葛藤をメインに描いている

このインタビューを見て、チャプター1のこのシーンの意味がわかりました。

ジョンは虚ろな目で、刺した相手の目をしっかりと見つめています。

運命と向き合い、それに抗う様子が描かれているんですね。

ここからジョンの美学が生まれているんだなと思います。

ジョンが相手にとどめを刺すヘッドショットのシーンが多用されますが、たとえ復讐であっても相手を苦しませずに殺す。「尊厳ある死を」という美学を感じますね。

さて、そんな内面の葛藤がジョンからはにじみ出ています。

これはキアヌ・リーヴス自身がプライベートで数々の悲惨な体験をしているからでしょう。

●3歳の頃、父親は家族を捨てて出て行ってしまい生き別れ。
●妹のキムが白血病に倒れる。
●「マイ・プライベート・アイダホ」の共演者で親友だったリバー・フェニックスが23歳の若さで他界。
●恋人のジェニファー・サイムさんが、妊娠8カ月で流産。
●流産の1年半後、ジェニファーさんが自動車事故で死亡。

辛すぎる・・・

キアヌ・リーヴスはリアルでも運命を何度も呪ったことでしょう。

そこから生まれる葛藤や哀愁は演技では出せない本物なのです。

だから多くの人が物語ベースではなく、現実ベースでキアヌに無意識に感情移入してしまうのでしょう。

ちなみに、ジョン・ウィック チャプタ―1のレビューでは「犬を殺されたくらいであそこまでキレるってすごい」みたいなレビューもありますが、見方が浅すぎますよね。

愛犬のデイジー = 亡き妻との思い出の象徴

だからこそあそこまでキレたわけです。

ジョン・ウィックの魅力3 長回しのアクションシーン

ジョン・ウィックのアクションシーンが最近のアクション映画と何が違うかお気づきでしょうか?

ジョン・ウィックシリーズを監督しているチャド・スタエルスキは『マトリックス』シリーズのスタント・コーディネーターを務めるなど、スタント業界では有名な人物です。

でも、マトリックスのアクションとは全く違いますよね。

さらに言うと、最近のアクション映画(ジェイソンボーンシリーズ・96時間シリーズ)とも違うでしょう。

いったい何が違うのでしょうか?

最近のアクション映画と比較してみましょう。

ジェイソンボーンシリーズがアクションシーンの撮影技法を大きく変えました。

ジェイソンボーンシリーズで特徴的な技法が次の2つです。

●fast cuts
●shaky camera

fast cutsは文字通り短いコマで編集する技法です。これによってスピードと激しさを演出できます。

shaky cameraとはわざと手振れさせる手法です。ドキュメンタリー風に見せる効果があります。

ジェイソンボーンシリーズはこの2つを組み合わせてヒットしました。

このような撮影技法が使われるようになった流れと実例を「ジェイソン・ボーン」「96時間」を使って説明しているのが、下記の動画です。

ただ、この技法にはデメリットもあります。

ジェイソンボーンのアクションシーンを見て、目がチカチカしませんでした?

何をやっているのかよくわからんって思いませんでした?

こんなストレスを感じてしまう技法でもあるのです。

しかしジョン・ウィックにはそんなストレスを感じませんよね?

ジョン・ウィックはこの技法とは真逆の手法で撮影されているからです。

いわゆる”長回し”です。

カットせずにカメラを回し続ける。だから流れるようなアクションシーンを楽しめるのです。

しかし、このような撮影方法は俳優の技量を必要とします。

ジェイソンボーンのアクションシーンは別にマット・デイモンが演じていなくても違和感なく撮影できると思います。

だって、何が起こっているかよくわからないんですから。

いくらでも誤魔化せるということです。

一方、長回しでアクションシーンを撮ると、誤魔化しができません。

この撮影に耐えるキアヌってすごいです。

(あ、マット・デイモンをディスっているわけではないですよ。僕はマット・デイモンも大好きな俳優の一人ですから。)

キアヌはジョン・ウィックの役作りのために、柔術、射撃、運転のトレーニングを週5日、4か月間続けたそうです。

Fantastic!

内容ゼロっていう人がいるけど、自分勝手に意味を見出すのが映画を見る楽しみでは?

ジョン・ウィック3 パラベラムを見て、僕は「正義とは何か?」についての問いかけと考えることもできると思いました。

「暗殺者の物語で正義とかアホなの?」と思う人もいるでしょうが、映画を見る楽しみって、勝手に意味を見出すことにもあるんです。

ジョナサンが砂漠でエルダーに許しを求めた後、コンチネンタルホテルでウインストンと会話するシーンがあります。

こんなセリフが交わされます。

ウインストン:私を撃てば魂を売ることに
ジョナサン:だが生きて妻を忘れずにいられる
ウインストン:その代わり主席の僕として死ぬ
問題は何者として死にたいかだ
人が死ぬ時に最後に見る”ババヤガ(闇の男)”か?
妻を愛し妻に愛された男としてか?
どちらがいい ジョナサン?

そして裁定人が現れて、ジョナサンに問いかけます。

ウインストンの頭を撃つの?

そしてジョナサンは答えます。

いや、撃たない。

このシーンを見たときに、僕は「正義とは何か?」を考えた古代ギリシアの哲学者プラトンのことを思い出しました。

プラトンには「国家」という有名な著作があります。

その中に、当時のソフィストであるトラシュマコスという人物の言葉があります。

「正義とは強者の利益にほかならない」

わかりやすく言うと、「力こそが正義」ということです。

正しさとは思想の内容ではなく、その思想の持ち主が強者か同課によって決まります。

考え方が道徳的であろうがなかろうが、戦争で勝った方が正義ということです。

戦争だけでなく、民主主義国家においても、多数派という強者の集団が主張することが正義と考えられます。

これは現代でも正しいんじゃないかと思えてしまう主張です。

しかし、プラトンはそうは考えませんでした。

正義かどうかを判断するのに、外に現れる結果(戦争で勝つ、多数決で勝つ)ではなく、自分の内面(魂・良心)を基準にしようと考えました。

つまり正義とは何か外側にあるものではなく、自己の内面にあると考えたのです。

さて、映画の先ほどのシーンに戻ります。

裁定人に「ウインストンの頭を撃つの?」と問いかけられたシーンです。

ウインストンを殺せば、ジョナサンは「生きて妻を忘れずにいられる」ことができます。

外側に現れる結果としての正義を選ぶなら、ジョナサンはウインストンを殺していたでしょう。

しかし、ジョナサンはそうしませんでした。

自分の内面の声によって何が正義かを判断したのです。

その結果、自分は組織のターゲットとなり死のリスクにさらされます(もちろん死なないけど)。

自分が本当に大切にするべきものは何なのか?それをどう判断するのか?

そんなことを考えさせられるシーンでした。

ジョン・ウィック パラベラムは、こんなこと考えながら見ても楽しめる極上アクションMOVIEなのです。

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