傾く(かぶく)の語源・起源・意味について

語源 頭をかしげる
起源 戦国時代末期から江戸時代初期にかけて
意味

頭をかしげる→斜に構える。転じて、常識はずれ・派手なふるまい。

傾く(かぶく)の語源・起源・意味について

傾く(かぶく)の語源

かぶくの語源は、「頭をかしげる」ということです。歌舞伎という言葉が「かぶく」という動詞になったわけではありません。むしろその逆で「かぶきもの」から歌舞伎が生まれたのです。

傾く(かぶく)の起源

戦国時代末期から江戸時代初期にかけて「かぶきもの」という言葉が使われるようになった

茶道や和歌などを好む者を数寄者といい、数寄者よりさらに数寄に傾いた者というのが起源

※数寄者は芸道に執心な人物の俗称

傾く(かぶく)の意味

頭をかしげるから、斜に構えるという意味に変わり、転じて、常識はずれ・派手なふるまいを表すようになったようです。そこから 常識を逸脱した奇抜な行動をするもの、異様な風体のものを「かぶきもの」というようになります。

傾奇者(かぶきもの)って具体的にどんな人?

かぶきものにも本物と偽物がいます。

偽物の傾奇者

偽物の傾奇者は、単なる目立ちたがりのこと。「常識にとらわれずに生きる」の意味をはき違えていました。社会秩序を無視して、カツアゲ、辻斬り、博打など乱暴狼藉を働いたみたいですね。

本物の傾奇者

本物の傾奇者とは仲間同士の結束が固く、信義を重んじる気概と美学を持っていた任侠者のことです。

※任侠者とは、仁義を重んじ、困っていたり苦しんでいたりする人を見ると放っておけず、彼らを助けるために体を張る自己犠牲的精神を持った人のこと

偽物の取り締まりを厳しくした徳川綱吉

文治政治を目指した徳川綱吉の頃から、ルールを無視する偽かぶきものの取り締まりが厳しくなったようです。

「自由に振舞う」には責任が伴うことを理解していなかったハンパ者たちが取り締まられたんですね。

かぶきものが生まれた時代背景

かぶきものという言葉が使われ出したのは、戦国時代末期から江戸時代初期にかけてです。

この時代以前にもかぶきものはいたと思います。

この時代になって言われるようになったのは、やはり戦乱の時代だったからでしょう。

戦国時代というくらいですから、日本史の中でも最も激しい戦乱の時代でした。

戦いに勝つためには、おしとやかになんかしていられません。

いかに敵を圧倒するかを意識した人が多くなるのは当然です。

相手を威嚇する行動、身なりをする人たちが現れたのは戦国の世という時代背景だったからでしょう。

歴史上のかぶきものを5人セレクト

前田慶次

傾奇者というと「前田慶次」を思い起こす人が多いのではないでしょうか?

人気漫画にもなりましたからね。

前田慶次の甲冑が残っているそうで、そこから推測される身長は平均的だったようです。

天下取りや武将として自分の名をあげる事には興味はなかったみたいですが、戦では暴れまわったそうです。

そんな様子から、かぶきものと呼ばれるようになったのかもしれません。

しかし、文化人としてお茶を点てたり歌を詠んだりすることも多かったと言われています。

文武両道の人だったんですね。

伊達政宗

ご存じ独眼竜。

NHK大河ドラマでも何度もテーマになっているので、多くの人がご存じでしょう。

25歳のときに、文禄の役という戦いに、派手な格好で参戦して「伊達者」と呼ばれるようになりました。

この人も傾奇者といえるでしょう。

自ら先陣を切って戦い、奥州地方を統一した武勇に優れた武将でした。

一方で内政でも手腕を発揮した優秀な政治家でもありました。

織田信長

日本史上、最も有名な人間ではないでしょうか。

こちらも独眼竜と同じく、NHK大河ドラマでたびたび取り上げられました。

織田信長の幼少期は、破天荒な人物として描かれていますよね。

髪はひもで結び、腰には帯ではなく縄を巻いてひょうたんをぶら下げて歩いていたとか。

傾奇者らしい格好だけでなく、柿や瓜をかじりながら街を練り歩き、悪友との奇行の数々もあったようで、精神的にも幼少期から傾奇者だったようです。

徳川吉宗

徳川8代将軍。暴れん坊将軍のモデルです。

幼いころは結構やんちゃで、周りが手もつけられないほどの暴れん坊だったみたいです。

頭が良くキレ者だったことは確かなようですが、女グセが悪く、素行は悪かったようですね。

武蔵坊弁慶

傾奇者という言葉が使われるよりずっと前の人物ですが、歴史上の傾奇者として武蔵坊弁慶は外せないでしょう。

現代歌舞伎での演目のひとつである『勧進帳(かんじんちょう)』の主役ですからね。

武蔵坊弁慶は源義経に付き従い、最後まで義経を守りぬいた人物です。

この漫画も面白かったなあ。修羅の刻・義経編です。

武蔵坊弁慶は、叔母に鬼若という名前を付けられ、京都で大切に育てらます。

そして鬼若は法師になるために、比叡山に預けられました。

頭もよく、体格も立派で腕っぷしが強かった鬼若は周りから妬まれることが多かったのでしょう。

乱暴がすぎてしまい、鬼若は比叡山を去ることになります。

その後に、『日本昔ばなし』にもなっているように、五条大橋で牛若丸と出会うのです。

かぶくの類語

最後に「かぶく」の類語をいくつか挙げておきます。

伊達

伊達(だて)とは、かっこいいところを見せようしている様子です。

うわべだけで実際には中身が伴っていないというイメージがありますね。

「伊達眼鏡」とか。

もともとは伊達政宗のところで紹介したように、独眼竜が語源のはずなのに、なんでこんなイメージになったんでしょうね。

その他の類語

その他、かぶくの類語には次のようなものがあります。

  • 奇抜な
  • 奇天烈な
  • 奇をてらった
  • 奇矯な
  • エキセントリックな
  • 突飛な
  • 奇妙キテレツな
  • 変てこな
  • 常軌を逸した
  • 尋常でない
  • 普通でない
  • あぶない
  • 奇異な

これらの言葉を見ていると、「かぶく」のイメージが鮮明になってきますね。

以上、「かぶく」の語源・起源・意味について、そして傾奇者が生まれた背景についてでした。